[ML対談] 東海光学のCCPレンズについての疑問点

小見
ある病院からの処方箋ですが、東海光学のCCP400のTSカラーで、累進レンズの指定がありました。
身体障害者福祉法に該当する網膜色素変性症用の遮光眼鏡ではなく、自費扱いとなる方です。

CCP400のTSカラーというのは、淡いブラウンで、アリアーテのキャメルブラウン15%
位に相当する色です。
医療用レンズということでメーカーから小売店への卸価格からの値引きなどは一切無く、値段は通常の累進レンズに染色を施したものの3倍以上となります。

疑り深い私としては、CCP400とアリアーテの通常染色品が、分光透過率などでどれだけ違うのか、と常々疑問に思っておりましたので、東海光学に問い合わせましたところ、以下の趣旨の回答がありました。

「アリアーテは分光透過曲線が公表されていないが、CCP400は分光透過曲線を公表し、その曲線に対して性能を保証している。アリアーテの分光透過曲線が公表されていないために、CCP400と比較することはできない。」

こちらは、ズバリ通常の染色品との違いを知りたいのですが、何とも要領を得ない答えの繰り返しで埒があきません。

【確かにアリアーテは分光透過曲線が公表されていないのですが、古いセイコーのレンズガイドに、以前使われていたアキュートカラーの分光透過率が載っていました。
この曲線はUV400を付加していないもののようですが、ニートブラウンやシェードブラウン15%の曲線に、UV400の曲線を加えてみると、なんとほとんど一致します。
むしろ、ニートブラウンのほうが、CCP400のTSカラーよりも450ナノメーター付近の青色光をより多くカットしてるんじゃないか?という感じにも見えます。】a

掛ける本人が納得されているからそれでいいのでしょうが、疑り深い私としては、何とも釈然としないので、明日もう一度東海光学に食い下がって見たいと思います。

岡本
オプティカルカラー協会が作った「アリアーテ パステルカラー カラーサンプル分光透過率曲線」というタイトルのパンフが手元にあります。もちろん、キャメルブラウンも載っています。

これは内部文書のようなものではなく、公表のためにアート紙に大量に刷られた様子の印刷物です。
うまい具合に2部ありますから、一部小見さんに送ります。

小見
ありがとうございます。
東海光学のいう「CCp400との比較はできない」という部分には反論できそうですね。

先方の出方はおおよそ見えていますが……おそらく「アリアーテの染色は、見た目の色合いでのみ決定している。CCP400の染色は、分光透過率曲線を基準にしているので性能は保証できる。」というところでしょう。

昨日のメールの後、別件で電話をしまして、ついでに【 】aのことを質問してみました。
すると、返事としてはアキュートカラーについては全く触れず、相変わらず「CCP400は分光透過曲線を公表し、その曲線に対して性能を保証している」の一点張り。
質問の仕方、矛先を変えてもこの一点張りです。

先の電話は弊社の営業担当、この電話は、電話受付に出た女性社員ですので、全社的にマニュアルが存在するのかもしれません。
私も意地になって、しつこく食い下がり糸口を見つけようとしました。

—————————- 以下要約 ————————–

東海光学
「健康な方には違いは実感できないかもしれませんが、目に障害のある方に掛けていただくと違いがあるとの実験結果があります」


「その実験は、プラセボ効果を排除した二重検盲法とかの対策をした公平なものなのか?」

東海光学
「……(意味が伝わらず?)」

・・・・・私からしばし、プラセボと二重検盲法の説明。


「だから、どの程度、信頼性のおける体験談なんだ、って聞いてるの!」

東海光学
「あくまでも体験談ですので個人差がありまして……」


「そんなことを言いだしたら、巷にあふれる『ナントカ還元水を飲んだら末期ガンが治った』、とかのインチキマルチ商売と同じレベルやんけ!」

東海光学
「……」

そして再び「CCP400は分光透過曲線を公表し、その曲線に対して性能を保証している。」の一点張り。
話が通じない相手と議論してもしょうがないので、とりあえず諦めました。
営業担当者ともう一度じっくり話してみます。

岡本
東海光学の言いたいことは「アリアーテの場合、個々の商品については、いろんなレンズメーカーで染色されるので、協会が作ったサンプルレンズの色調や濃度(分光透過率)のとおりにできているという保証はないけれど、CCP400については、それはOKです」ということでしょう。

ただ、CCP400の素材が他には使われていない特別なものということではなく、コートも特別なものでないのなら、CRや他の素材でCCP400に良く似た色に染色すれば、良く似た効果を持つのではないかと思います。

もし、そうでなく、【単に色がCCPに似ているだけのレンズとCCP400とは違うのだ、というのであれば、厳密な比較治験の結果の公表が欲しいところですね。】b

小見
全くその通りです。

ただ、私としましては、営業担当者は「特殊な染色料」という言葉を使いましたので、【・通常の染色料とはどこがどう違っているのか?・パンフレットに謳われている様々な効能は、その特殊な染色料がないと得られないのか?】b という核心の部分を聞きたいのに、話を逸らせるばかりで噛みあいません。

岡本
もしも、悪い小売店があったとして、T光学のCCP400レンズとしての度つきや累進
を受注して、CCP400の色見本を自店がよく使う度つきや累進レンズのメーカーに送ってレンズを作ってもらって、それをお客さんに使ってもらったらどうなるか、ということも興味のあるところです。

あるいは、我々の店におけるメガネの調製販売で、すでに度つきまたは度なしのCCP400を使っている人から、同じ色で違う度数のCCP400レンズを希望されたときに、事情を話して、「もし、効果が十分でないなら、今度は無料でCCP400に入れ替えます」と言って、CCP400を見本にして普通のCRなどで作ってみて、使用体験を聞いてみる、などのこともできるかもしれません。

その場合、価格がCCP400よりも相当に安ければ、お客さんにとって、その話に乗る値打ちがあると思います。

小見
営業担当に対し、昨日の女性社員との電話でのやりとりを伝えた上で、【 】bの件に関して質問いたしました。

核心に突っ込もうとしても、相変わらず話を逸らすばかりで、(あるいは判断材料を持ち合わせていないだけなのかもしれませんが)私が現時点で得られた情報をまとめますと、分光透過率など、科学的な根拠に基づいた厳密で公平な比較データというものは存在しないようです。

パンフレットに謳われている「特別な効能」も、協力いただいた先生の意見を参考にして書かれたもので、必ずしも厳密で公平な治験から導き出された結果に基づいているとはいえない、ということです。

最初は、CCP400と通常の染色品とは、どこがどう違うんだろ?という素朴な疑問だけだったのですが、話し合いを重ねるたびに、だんだん胡散臭く感じてきたのは私の性格が捻じ曲がっているからでしょうか?

岡本
ひとつ思い出しました。今年の春の名古屋での日眼研の研究会のときに、東海光学さんにCCPレンズの商品説明をやっていただけないかと打診しました。
時間は1時間とるのでじっくり聞きたいですと。

そうすると、3~4日後に断ってこられまして、理由を聞いても納得のできる説明がありません。

私は別にその時点では疑わしい点が残るレンズだと思っていなかったのですが、あちらさんが勝手に気を回して「岡本さんが、CCPレンズにきついつっこみを入れるつもりなのかもしれない」と思われたのかも分かりません。(^_^)

そういう状況証拠と、小見さんにお聞きしたことを考え合わせると、CCP400の見本
があれば、それを元にかなりよく似た色のレンズを通常のプラレンズで作れば、効果は殆ど変わらない……と言えるのではないかとも思います。

もし、そうでないとおっしゃるのであれば、どこがどう違うのかを、ぜひ東海光学さんからお聞きしたいものですね。

で、この業界には、CCP400に似たコンセプトのレンズが、別のメーカーからも出て
いますが、それについても、厳密な比較データなどがあるのでしょうか。

前に、そのメーカーのオフィスカラーについて、そのメーカーと関係が深そうなY医師が、治験データの論文のようなものを、2回に渡って業界誌『月刊眼鏡』で発表しておられました。

それに対する私の批判は日眼研会誌にのせましたし、Y医師にも送りましたが、コメントはありませんでした。
そのうちに、Y医師は収賄容疑で逮捕されてしまいました。

 ●

小見
電話ではらちがあかないので、下記の質問を送付しました。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

東海光学様

2009.7.25 おみメガネ 穴水店 小見英夫
石川県鳳珠郡穴水町川島サー54番地

御社の主張である、「アリアーテは分光透過曲線が公表されていないが、CCP400は分光透過曲線を公表し、その曲線に対して性能を保証している。

アリアーテの分光透過曲線が公表されていないために、CCP400と比較することはできない。」に関してですが、オプチカルカラー協会発行のアリアーテのカラーサンプル分光透過率曲線の載ったパンフレットが日本眼鏡技術研究会の岡本会長のところにあり、見せていただきました。

御社が主張されていた「アリアーテの分光透過曲線が公表されていない」というのは事実ではないことだけは確かです。

ただし、CCP400が公表した分光透過曲線に対して性能を保証する旨は否定されるものではありません。

この件に関しては特にこれ以上質問はありませんが、エンドユーザー向けのリーフレットやウェブ上で謳われているCCP400の特殊効果の部分に関してお聞きいたします。

これらの販促物によりますと、CC400には、一般的なカラーレンズとは違う特殊なフィルター効果があるように読み取れます。
これは御社営業小林氏の言葉による「特殊な染色料」によって得られる効果であることは容易に想像できます。

例えば、裸眼とCCP400を比較して、CCP400のほうが眩しさが和らぎコントラストが上がった、とか、レイバンG15とCCP400を比較して、CCP400のほうが明るくて見やすい、などと比較することは容易ですが、これでは、CCP400が、一般的な染色料で色調・濃度ともに同程度に染色された同素材のレンズに対して優位性がある
との証明にはなりません。

【質問1】 CCP400と、一般的な染色料で色調・濃度ともに同程度に染色された
同素材のレンズとで、他覚的に分光透過率を比較したデータは存在するのでしょうか?

【質問2】 CCP400と、一般的な染色料で色調・濃度ともに同程度に染色された同素材のレンズとで、プラセボ効果を排除した公平な自覚的な比較データは存在するのでしょうか?

【質問3】 データが存在するならば、CCP400は医療用フィルターレンズとしての
認可を受けているのですから、是非明示していただきたいですし、明示する社会的責任があるとは思いませんか?

【質問4】 存在しないならば、効能を謳うようになった根拠を教えてください。

【質問5】 CCP400を見本として、可能な限りよく似た色調・濃度に通常のプラス
チックレンズを染色した場合、効果は変わると思いますか?

【質問6】 変わる場合、どこがどう違うか教えてください。

なお、この質問は、日本眼鏡技術研究会雑誌79号(11月発行)に掲載し、岡本さんが
主宰されているネットサイトにも掲載します。

ご回答をいただきましたら、それも併せて掲載します。

投稿日:2020年10月17日 更新日:

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