近視手術の後遺症対策研究会~日本眼内レンズ屈折手術学会 大鹿哲郎様への公開質問
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公開質問


 日本眼内レンズ屈折手術学会 大鹿哲郎様

                        2009.11.9 近視手術の後遺症対策研究会 代表 岡本隆博
                               http://www.optnet.org/syujyututaisaku/

 前略

 貴会のネットサイト(http://www.jscrs.jp/gaiyo/index.html 2009.11.9現在)を拝読して、疑問に感じた
 ことがありますので、ここに謹んでお尋ねいたします。
 以下において《 》内の文は、貴サイトからの原文のままの引用です。


 (質問1) 理事長のご挨拶に《両手術について正確な情報を一般の方に伝え,国民のquality of vision,
       ひいてはquality of lifeの増進に貢献することも重要です。》としてありますが、一般の人が一番
       知りたい、予後の後遺症や副作用の正確な調査データが掲載されておりません。その理由を
       おたずねいたします。

 (質問2) 同じく理事長のご挨拶に 《また屈折矯正手術については,我が国における発展の仕方は
       やや特殊な形態を取っており,問題がないとは言えません。》 としてあります。
       その「問題」とはどういう「問題」なのでしょうか。正確な情報を一般のかたに伝えるのが重要
       だとおっしゃっていますし、渉外担当の宮島理事も 《国民の皆様に、学会として、研究と臨床
       評価に基づく正しい情報が伝わるよう努力していきたいと思います》 とおっしゃっていますので、
       これについてはぜひとも詳しくお話しいただきたいと思います。

 (質問3) 貴サイトの 《日本眼内レンズ屈折手術学会の沿革》 のページには眼内レンズについての記述
       のみがあり、近視手術についての記述がありません。その理由をお尋ねします。


 以下は、《一般のかたへ>屈折矯正手術について》 の欄からの引用による質問です。

 (質問4) 《近視、遠視、乱視、老視について》 のところに 《正視(近視も遠視もない理想的な目)》 として
       ありますが、遠くに居る獲物を早く発見するなど、 遠方を高い視力で見る必要がある人でなけ
       れば、弱度近視の方が、近業が楽で、見かけ上の老視も遅いので、特に近業の多い現代人
       には、正視よりも便利な眼だ と言えると私は思います。
       正視が理想的だとされるのは、時代錯誤、地域錯誤ではないでしょうか?

 (質問5) 《近視、遠視、乱視、老視について》 のところに描いてある近視眼や乱視眼の切断図は、視神
       経の位置からして眼球のほぼ中央部を水平に切断した図 であることがわかります。なぜなら、
       これを眼球の中央部よりもややずれたところで縦に切断したものだとすると、視神経がこんなに
       下には来ないからです。
       そうすると、この眼は大文字Kを横に倒したものを見ていることになりますが、なぜこの眼は横
       に倒れた文字を見ているのでしょうか。

 (質問6) 《近視、遠視、乱視、老視について》 のところに 《老視は手術では治りません(手術でなおると
       いう話がありますが、十分に検証されたものではありません)。》 としてあります。
       これは下記のように解釈してよいのでしょうか。
       「近視は手術で治るが、老視は無理。 遠近両用の眼内レンズはまだその評価が定まってお
       らず当学会委としては、白内障手術に用いる眼内レンズとしてはお勧めはできない」

 (質問7) 《近視および近視性乱視で、手術により眼鏡やコンタクトレンズなしで、遠方がおおむね見え
       るようになれば、時と場合によっては眼鏡を使用することもかまわないと考える方はこの手術
       の最もよい適応です。》 としてありますが、どういう 《時と場合》 でしょうか。
       一般の人への説明としては漠然としすぎる と思うのですが。

 (質問8) 《眼鏡やコンタクトレンズを装用しつづけることにデメリットを感じておられ、多少近視が残っ
       たり、左右の見え方に少し差があってもこだわらないというのであれば、ほとんどの場合この
       手術の結果に満足できます。》 としてありますが、これはあくまでも見え方の鮮明さについての
       ことであり、術後の後遺症は別としての記述なのでしょう。

       しかし、実際のところ、近視の戻りや、遠視化による近見困難が生じたり、ハロやグレアの発生
       などが長期に渡って続くことも少なくないのですから、「ほとんどの場合に満足」という説明に、
       私は違和感を覚えるのですが、いかがでしょうか。

 (質問9) 《・ 手術が受けられない場合  この手術は角膜を削って近視および乱視を矯正します。した
       がって、もともと角膜が薄かったり、近視の度数が強かったり、角膜が弱いなどの条件で手術
       ができないことがあります。》 としてありますが、眼鏡やコンタクトそれ自体がイヤなのではない
       が、うまく見えない、という患者さんに対しては眼鏡やコンタクトの度数やカーブその他の変更
       により、うまくやればそれですむのではないか、という試みをしてみることなく、近視手術の医
       学的適応の検査に入るということは、まったく問題のない診療方針だと、貴会では判断される
       のでしょうか。

 (質問10) また、単に本人が「メガネ顔はイヤ、コンタクトは面倒」という理由を挙げるだけで、その眼が
        医学的適応でOKなら近視手術に向かう(もちろん、必要な説明はする)、という方針の医師
        がいるとしたら、貴会の方針としては、それを許容されるのでしょうか。

 (質問11) 《・ Phakic IOL  エキシマレーザー以外の屈折矯正手術としては、有水晶体眼内レンズが
        あります。眼内にレンズをいれることで近視を治しますので、強い近視でも治すことが出来
        ます。》 としてありますが、近視眼の本態は眼軸長の延長や網膜の病的変化であり、焦点が
        網膜よりも前に結ぶというのは、その状態に過ぎません。
        ですので、近視を直すというからには、眼軸を短くし、網膜を元に戻してもらいたいものだと
        私は思います。
        近視手術は、近視を「矯正」はするけれど、「治療」はできないというのが私の意見ですが、
        それについてどう思われますでしょうか。(貴サイトにも《近視矯正手術》と書いてありますよね)

 (質問12) 《・ ドライアイ  術後目が乾きやすくなし(←ママ)ますが、コンタクトレンズと同等です。点眼
        を追加してもらいます。》 としてあります、「点眼を追加」の意味が不詳です。 術後はドライア
        イなしでも点眼が必要なのだが、ドライアイがあったら、そこにドライアイ対策用の点眼もよけ
        いに必要になる、ということですか。
        また、ほとんどの場合に点眼は、術後半永久的に必要なのですか?

 (質問13) 《・ コスト  この手術は眼鏡、コンタクトレンズと同様に医療保険の枠外です。自費で治療
        費を払うことになります。》 とのことですが、近視手術の予後の診療でその手術の後遺症に
        ついての診療費は下記のうちのどれでしょうか。

           (  )その手術を受けたところなら、アフターサービスとして、ずっと無料。
           (  )その場合は、ある期間までは無料で以後は有料(ただし医療保険は利く)。
           (  )その場合は、ある期間までは無料で以後は有料(ただし医療保険は利かない)。
           (  )別の眼科へ行った場合、有料で保険も利かない。
           (  )別の眼科へ行った場合、有料だが保険は利く。

 (質問14) 《エキシマレーザーの設備投資が約1億円かかり、年間100人の患者さんを治療することで
        まかなおうとすれば1眼につき20万円程度は必要と なります。》 とのことですが、これだと年間
        の収入は2000万円にしかならず、経費がゼロとしても10年かかってやっと元がとれる勘定
        になります。
        そんな設備投資をするビジネスはまず考えられませんし、バイトでレーシックをする眼科医の
        時給はコンタクト医師の時給よりもはりかに高いと聞きます。貴会の会員医師が携わるレー
        シック施設の年間の平均患者数は何人なのでしょうか。

                                 ●

        貴サイトに、近視手術の「禁忌」が挙げられており、そのあとに 《・ 実施に慎重を要するもの
        抗精神薬(ブチロフェノン系向精神薬など)の服用者 緑内障 全身性の結合組織疾患 
        乾性角結膜炎 角膜ヘルペスの既往 屈折矯正手術の既往》 としてあ りますが、私はこれ
        に疑問を持ちます。

        すなわち、これらのうちの半分以上のものについては、「慎重を要する」とするよりも、「禁忌」
        とすべきなのではないかと考えるのです。その理由を以下に述べます。

 (質問15) 緑内障の場合には 、手術中に一時的に眼圧が上昇するために、それに耐えられるかどう
        かが不明です。これは本人の申告がなくとも他覚的に判断できますし、しっかり検査をすべ
        きです。その結果、緑内障がわかれば、これは近視手術の禁忌とすべきあると私は思いま
        すが、なぜこれについて「慎重に」とされているのか、その理由をお尋 ねします。

 (質問16) 近視手術を希望する緑内障患者の場合には

          1)術前の眼圧を何回かの診察で計測しその平均値を知っておく。
          2)術式として、場合によっては術中に眼圧をあげる必要のある「レーシック」ではなく
            「PRK」を選択する。
          3)術後は見かけの眼圧計測値が低く出るので、術後の眼圧のコントロールを厳しくする。
          4)緑内障専門医のいる眼科診療所でのみの施術を認める。(そうでないと、何かあった
            時に対処できない)

        などが、最低限必要とされる要件……ではないでしょうか。

 (質問17) 全身性の結合組織疾患や乾性角結膜炎では、重度の糖尿病や膠原病などの自己免疫疾
        患の患者さんの場合、角膜の再生・治癒が遅いため、たとえ、施術の頃に病状が落ち着い
        ていても、術後、病状が悪転した場合に悲惨なことになるではないでしょうか。

 (質問18) 角膜ヘルペスの既往があれば、ドライアイにより既に角膜に障害を持っている状態なので、
        手術によりさらにドライアイになることを考えると危険です。
        この既往がある場合には、レーシックの手術そのもので困難が生じるというよりは,過去に
        ヘルペスになった既往がある患者さんの場合、潜伏しておとなしく しているヘルペスウイル
        スを、角膜フラップ作成時の神経切断やレーザー照射にて再活性化させてしまうという可
        能性が高いわけで、すなわち、角膜ヘルペスが レーシックによって再発してしまう可能性が
        あるということであり、これは厄介な病気で、失明することもあるということはご承知のとおり
        です。

        たとえば、角膜ヘルペスの既往があるけれど、今は治まっている人がいたとして、万一、施術
        施設が既往の確認を落としてしまった時には、悲惨な結果が起こり得ますから、これについて
        も、「慎重に」でなく「禁忌」とすべきではないでしょうか。

 (質問19) また、ブチロフェノン系向精神薬は、それを長期服用することで、角膜疾患を既に起こして
        いることがあるし、屈折矯正手術の既往があれば、角膜厚の減少による円錐角膜、角膜拡
        張症のリスクがあるので、前回の手術後の屈折状態が落ち着いたことを見極めた上で行なう
        べきですから、これらについても単に「慎重」という表現では生ぬるいと考えます。いかがで
        しょうか。

 (質問20) 基本的に近視手術というものは、その近視や乱視を放置すると重篤な疾患に陥るとか失明
        の可能性があるとかいうものではなく、いわば、受術者の「よりよいQOLの希望」を元に行わ
        れるものであり、眼疾患を治療するためになされるものではないものですから、相当なリスク
        が見込まれるのに、単に「それを求める人がいるから」ということで、あえてそれを引き受け
        るというのは、医師の本来の使命に反した行為ではないかと私は考えますが、いかがでしょ
        うか。

 (質問21) 手術を希望されるような程度の近視眼はほとんどが軸性近視であり、それによる眼底の病的
        変化が、生じていることも往々にしてあるのですが、近視手術ではそれはまったく改善されず、
        もちろんですが、術後眼軸長が変わらないというデータもあります。
        ですので、近視が起こす網膜裂孔や網膜剥離などの疾患が生じる蓋然性が、近視手術に
        よって減るとは考えられません。

        もし、同じ程度の強度近視で、そのままメガネで暮らした群と、近視手術を受けた群とで、網
        膜裂孔や網膜剥離の発症の比率を比べたら、施術時の操作や、術後の眼圧の測定値の解
        釈が難しくなることから、むしろ、網膜剥離のリスクは上がるはずだと私は考えます。
        なぜなら、施術によって、眼球に無理な力が加わって、ひずみを生じかねないわけで、それ
        が数年後に網膜剥離となって現れることもありえるし、現にそういう人も居たと聞いています。

 (質問22) 《術後についての情報》 にいろいろ書いてありますが、一般人にとっては、このそれぞれが
        どのくらいの確率で起こるのかがわからないと、こういうことを読んでも手術を受けるかどうか
        の参考になりにくいです。

        しかし、これらについて個々の追跡データを掲げるのも、難しいかもしれませんので、下記の
        ことさえ聞かせていただいたら、近視手術を受けるかどうかを迷っている人にとっての決断の
        ための大いに有効な判断材料になると思うのです。

        貴会に所属の医師による近視手術の予後の全患者を対象とした満足度(後悔度)の調査

          非常に後悔している   (  )%
          少し後悔している     (  )%
          まったく後悔していない (  )%    (これを術後、定期的に長期間行なう)

        この調査をして、発表していただけないでしょうか。
        学会は、学会員のためだけではなく、公益のために存在するのですよね。

 (質問23) 白内障手術の際、遠近両用の眼内レンズを入れて、残った乱視などはレーシックで除去す
        るという方法があるようですが、その方法と、普通の単焦点の眼内レンズにメガネで遠近両
        用にするのとを比較した場合、便宜性はもちろん前者の方が勝るのですが、見え方のはっ
        きりさにおいて、前者と後者を群に分けて比較したデータがあるのでしょうか。




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