リラクシー型のレンズの総称は?〜【眼鏡技術者のナマの声】
トップページ ナマの声 募集 ナマの声一覧 リ ン ク
トップページ > ナマの声
リラクシー型のレンズの総称は?
                                           
岡本隆博

 眼鏡業界のかたに提言です。


 累進レンズはこれまで、遠近、中近、近近、とありましたが、そこに、リラクシー、リマーク
 の類が加わりました。

 あの種のレンズは、老視以前の人用の、いわば遠近累進レンズなのですが、あの種の
 レンズの総称は、まだないと思います。


 それで私が考えてみました。

 まず、この種のレンズを構造から名付けて他と区別するのは無理です。なぜなら、構造と
 しては、加入が少ない遠近累進と本質的に違いがないからです。

 そこをあえて言えば「別種(新種)遠近累進レンズ」とでもなるのでしょうが、それでは、
 あのレンズの特性を表現できていないように思えます。

 それゆえに、それぞれのレンズの目的で考えることにしますと、普通の遠近両用は、
 遠くも近くもハッキリ見るためのメガネレンズですが、リラクシータイプは、「近く」を
 「ハッキリ」見るためではなく「楽に」見るためのメガネレンズですので、楽近累進、
 あるいは、近楽累進、がよいのではないかと思うのです


                           ○

 なお、若い人にこの目的で累進を利用する場合に、手元を広くはっきりと見たいという場合
 であれば中近の利用も有り得ると思いますので、そういう場合ならたとえば「中近累進による
 楽近」と言ってもよいと思います。(普通は「遠近累進による楽近」ですね)

 ただし、これは我々の中での呼び方であり、ユーザー向けに言う場合には「楽近レンズ」
 「楽近メガネ」か「近楽レンズ」「近楽メガネ」でよいと思います。

 では、「近楽」がよいか、「楽近」がよいか、それとも、その2つの用語を使い分けるのはどう
 かな、と考えていて、ふと思ったことがあります。

                           ○

 それは、たとえば我々が老視のある人に関して、「このかたのメガネは遠中両用で作り
 ました」と言ったとして、それは、次のどれを意味するかが不明だということです


   1)遠中両用としてメーカーが出している累進部の長い累進レンズで作ったということ。

   2)何らかの累進レンズで、遠方と中距離が明視できるようにしたということ。

 上記の1)であれば、加入度を強めにして遠近両用として使えるものなのかもしれませんし、
 そうではなく、年齢相応の加入度で、レンズの設計上の理由で遠距離と中距離を広く明視
 できるようにしてあるものかもしれません。

 あるいは、ひょっとして、そのどちらでもなく、用途としては中近両用にしてあるのかもしれ
 ません。


 2)の場合には、遠中累進レンズだけでなく遠近累進や中近累進などでもそういう用途に
 できますから、この場合だと、使われているレンズの種類(構造タイプ)が不明です。

 ですので、単に「遠中両用で作りました」というだけでは、そう言った本人はどういうことだか
 わかっていても、聞いた方としては、それが専門家であっても実態はよくわらないわけです。

                           ○

 同様のことが、いろんな場合に言えます。

 中近両用としてメーカーが作った累進レンズを使って遠近両用を作ることもできますから、
 「このメガネは遠近両用に使います」と言っただけでは、どういうレンズが使われている
 のかは定かではありません。

 逆に遠近累進を使って中近両用のメガネを作ることもできますので、「これは中近両用の
 メガネになっています」と聞いた場合に、どういうレンズで中近両用に作ってあるのかは確
 定的ではありません。

 もし、遠近累進を使って眼の前55cmくらいから25cmくらいを明視できるようなメガネを
 作ったら、それは「近近両用を作った」と言ってもおかしくないのですが、使われているの
 は遠近両用の累進レンズです。(その方法だと、近近累進レンズで近近用を作るよりも遠め
 の「近」での明視横幅がぐっと広がります。


 そこで私は、技術者どうしで(業界で)これらのことを表現する場合には、次のように区別し
 たらよいのではないかと思います。

       A【構造を表現する場合】
           遠近累進 遠中累進 中近累進 近近累進 (近楽累進)



       B【用途を表現する場合】
           遠近用 遠中用 中近用 近近用 楽近用



 上記のAの場合には、その用語のあとに「メガネ」をつけるよりも「レンズ」を付けた方が
 自然だし、逆にBの場合には、つけるのなら「メガネ」を付けるのがふさわしいわけです。

 このように言い分ければ、そのレンズ(メガネ)の構造も用途も明確になります。
 構造を表現する場合の「近楽累進」にカッコをつけてあるのは、技術的には、遠近累進と
 近楽累進を区別するのはあまり意味がないと思うのですが、商品紹介的等の理由で区別
 して表現した方がよいこともありそうだからです。

 たとえば、遠近両用としてメーカーが出しているレンズで、手元は見えなくてよいから歩きや
 すいようにということで、加入度を少なめにして調製したメガネなら、「遠近累進(レンズ)で
 遠中用(メガネ)を作った」と言えば、その意味が明確になります。

 また、遠近両用としてメーカーが出しているレンズの加入が1.00Dのもので、若い人に手元
 も楽に見えるメガネを作ったのなら 「遠近累進(レンズ)で楽近用(メガネ)を作った」 と言え
 ば、そのレンズの構造とその眼鏡の用途がはっきりとします。

 中近両用の累進レンズでその目的で作ったメガネを永年使っていて、気がつくと、それで
 普通に道を歩いたりしていて遠中両用として使われている、なんてこともあるものですが、
 この場合だと、いまは「中近累進による遠中用メガネ」だと言えば、その眼鏡の実態を的確
 に表現していることになるわけです。

                            ○

 とにかく、累進レンズのことを遠近だとか中近だとか言う場合には、構造のことを言って
 いるのか、用途のことを言っているのかを、聞き手がわかりやすいように区別して言う
 のが良い
と、私は思うのです。

                            ∴


トップページ
Copyright (C) 2007-2008 眼鏡技術者のナマの声 All Rights Reserved