◇ 眼鏡士が業務独占になると、いまの認定眼鏡士は不利になりそう
岡本 隆博
眼鏡業界では、日本眼鏡技術者協会とその友好団体は、いわゆる眼鏡士の国家資格化実現に向けて、相変わらずいろいろと団体の設立やら金集めやらをされておられるようであるが、業務独占の国家資格になると、かえって困ることになるのではないか、ということを私は下記の記事に書いた。
http://www.optnet.org/namanokoe/kokkasikaku.html
http://www.optnet.org/namanokoe/shikaku.html
それで、これらの記事の中に書き漏らしたことがひとつあるので、ここにそれを追記しておきたい。
今すでに協会の認定眼鏡士のなかには、業務独占の国家資格になったとしたら、技術的に未熟な店は営業ができなくなり廃業せざるを得なくなるだろう。それが楽しみだ、フフフ……などという期待を抱いている人もいると思う。
しかし、それは甘すぎると私は言いたい。
もし、新しく国家資格の制度ができるとなれば、おそらく下記のうちのどちらかになるだろう。
A 「国家資格の眼鏡士がいない店はメガネの販売(枠もレンズも)ができなくなる」
B 「国家資格の眼鏡士がいない店はメガネの検眼ができなくなるが販売はできる」
いずれにしても、現在の協会の認定眼鏡士は横滑りでそのまま国家資格の眼鏡士になるのだろうが、では、いま協会の認定眼鏡士ではない人間はどうなるのかというと、これまでのいろんな国家資格の発足のときの状況をかんがみると、既存の店には一種の営業権というものがあるので、おそらく一定以上の経験年数のある者については、簡単な講習を受けるだけで(受講料は安くないが、制度発足までに今の認定眼鏡士が費やした総額よりは安いだろう)、資格を獲得、ということになるだろう。
これで、協会には一時的にけっこうな収入が見込まれる。
たとえば、一人10万円で1万人が受講したら……10億円であるが、そのうちから経費を差し引いた分の何割かはどこかに献金されるのかもしれない。
それはさておき、まず、上記のAになったらどうなるか。
それまで営業していた店のうち、
講習会の受講料を払えない店以外は、講習を受けて眼鏡士になり、みな元のまま営業するので、国家資格制度の発足後は「当店には認定眼鏡士がいます。正確なメガネは眼鏡士のいる当店でどうぞ」という宣伝を、それまで認定眼鏡士がいた店ができなくなってしまう。
もちろんだが、安売り店はなくならない、それは欧米の現状を見ればわかる。
国家資格と販売政策とは関係がないからである。
では、Bになったらどうか。
検眼のできない店は、検眼のできる店よりも不利なのではあるが、それをカバーするために、枠のみやレンズのみを大幅に安く販売するだろう。
そうしないとその種の店には誰もメガネを買いに行かなくなるからである。
レンズについては、眼科の処方箋を持ってきてもらって、それを基に枠にレンズを入れるか、あるいはアンカットレンズを販売するかのどちらかであろうが、当然ながら後者の方がはるかに手間がはぶけるので、レンズ価格は「激安」となる。
そして、そういう店で買った枠とレンズを持ち込まれたものの加工を専門にひき受ける店も、近くにできるだろう。
(現在すでに、ネット通販では、枠だけでなくアンカットレンズを安く売る店もあるし、レンズの枠入れ加工を安い値段で引きうけるところもある)
このように、眼鏡士が国家資格になったら、いま協会の認定眼鏡士がいる普通のメガネ店は、商売の上でいまよりもしんどくなることはあっても、良くなることはないと私は推測する。
ただ、資格制度が発足してのちは、試験に合格しないと眼鏡士になれないことになるから、眼鏡学校が繁盛するのは100%確実である。
なお、参考までに書いておくと、
10数年前までは、メガネ店を開設するには薬事法で届け出が必要とされていたが、折からの規制緩和の波にのって、その届出制度が廃止された。
そういう時代の流れからすると、国家資格を持つ者がいない眼鏡店は営業不可、なんていうのは時代逆行ともいえるのである。