「から価格」は「空(から)価格」〜【眼鏡技術者のナマの声】
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[ML談話] 「から価格」は「空(から)価格」
                                     
岡本隆博

 前に一度ML談義で次のような話をしました。
 店に「遠近両用は大体どのくらいでできるの?」と問い合わせがあった場合に、
 どう答えますか?と私がみなさんに聞いたら、「○○からできます」と「から価格」を
 言った人が多かったので、それでは親切とは言えない、ということを私は申し上げ
 ました。

 人間というのは数字には敏感に反応するものです。「月給が上がる」というのと
 「月給が3割上がる」というのではまったく印象が違いますよね。

 本のタイトルでも「営業力アップの法則集」と「営業力アップ、10の法則」という
 のでは後者の方がずっと良く売れるでしょう。
 それが数字の威力です。

 たとえば「当店で遠近両用のレンズは一組24,000円からできます」と聞きますと、
 「から」は忘れてしまって「24,000円くらいでできる」と錯覚して覚え込んでしまう
 人が多いのです。

 また、チラシに大きく「メガネ一式で17,800円〜」と書いてあれば、
 「〜」は目に入らず「17,800円」だけが印象に残ります。

 普通の商人は、そのことを利用して、とにかくそれでもって店に来てもらって、
 それからセールストークその他で、それよりも高いメガネやレンズを勧めたり
 売ったりするわけです。

 メガネの場合、受注時には内金をもらって残金はお渡しのとき、ということが多いので、
 その「安い価格を言って高いものを売る」商法をとりやすいわけです。

 また、そういう策略的な意図はなくても、我々は、価格を問い合わせてくる人に、
 高い値段を言ったら来てもらえないかも知れない、とにかく店に来てもらわないと……
 という心理から、つい最低価格のみでもって「○○円からできます」と言ってしまいがち
 なのですが、しかし、そのクセからは、もう卒業するべきです。

 その言い方は、店の入り口の近いところに一式1万何千円のセットを目立つように
 並べて、客をとにかく店に入ってこさせて、あとはセールストークで高いものを売ろう
 ……という量販店のやりかたと、根本は同じです。

 価格を尋ねるお客さんは、最低いくらでできるのか、ということを知りたい人もいる
 でしょうが、しかし、それさえ知ればよい、ワシは必ず最低価格で作るから、
 なんて人は、まずいないでしょう。

 それよりも、大体どれくらい用意していったらそこそこのメガネができるのか
 ということを知りたい人がほとんどのはずです。
 ですから、そういう人に最低価格だけを言うのは親切ではありません。

 望ましいのは、たとえ相手がクチグセで「なになにはいくらくらいからデキルの?」
 と聞かれても、それはいわばそういう言い方に慣れているからそのように言った
 のであり、最低価格だけ聞きたい、ということだとは限りません。

 ですので、「から」で聞かれても「から」だけで答えるのではなく、カラ価格、と
 平均的にはどのくらいか、ということの両方を答えるのが親切であり、
 フェアーであると言えるでしょう。

 ましてや、「どれくらいでできるの?」と聞かれていて「から」では聞かれてはいない
 のに、いつものクチグセで、から、でだけ答えるのは、まったく不誠実、というか、
 それでは答えにはなっていないのです。

 そして、ホームページ(HP)を見る人においては、問い合わせてくる人の場合よりも、
 最低価格だけわかればよい、という人ははるかに少ないハズです。

 ですから、価格を問いあわせてこられたわけではないのに、当方からHPに自ら
 価格を表示するのなら、問い合わせがあった場合に答えるときよりもなおのこと
 「最低価格のみの表示では不充分」と言えるのです。

 人間、一度ついたクセを治すのは大変ですが、良くないクセは早く治すべきです。
 から価格、は、空(から)価格、に通じます。

 商品(技術も含めて)で十分に近隣他店との差別化がなされていれば、
 価格については、そんなに無理なことを言わなくても、おとり的な価格を出さなくても
 店に来てもらえるのです。


 我々は誠実な商売をしたいものです。
 そのためには売りたくない商品や売りたくない価格を打ち出すのはやめましょう。
 売りたい(お勧めしたい商品)商品、売りたい(お勧めしたいものの)価格を
 打ち出しましょう。


 あるいは、その種の商品の平均的な価格(最多販売価格というのがよくマンションの
 広告に載っていますね)を表示すればいいのです。

 我々のHPを見て、この店へ行ってみようかなと思うお客さんは、この種の商品なら
 大体どれくらい予算を見ておけばよいのだろうか、と考えておられるはずであって、
 その種の商品の一番安いものを買いたいと思っておられるのではないはずですから。

 HPに、その種の商品の最低価格だけを表示するくらいなら、
 価格は表示しない方がまだまし、だとさえ言えるかもしれません。




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