メガネかコンタクトレンズか

岡本隆博

近視や乱視などがある人がものをはっきり見るには、大きくわけて下記のような方法があります。

1)視力回復の訓練をする。
2)オルソケラトロジーを利用する。
3)近視矯正手術を利用する。
4)コンタクトレンズを使用する。
5)メガネを使用する。

これについて私の意見を述べます。  1)は、近視や乱視が軽いうちなら、そこそこの効果が出る場合もあるでしょう。
ただ、裸眼視力が0.1程度とか、それよりも低い場合には、裸眼で1.0前後の視力まで
もっていくのは、なかなか大変ですし、常に回復訓練を続けなければならないという問題
点があります。

2)寝ている間中、特殊なコンタクトレンズを装用して、眼の角膜のカーブを変えて近視
の度数を弱くして、裸眼でもけっこう日常生活ができるようにするという方法ですが、これも常にそれを続けなければいけないという点と、費用がやや高いという点が、残された課題だと言えるでしょう。

3)これは、うまくいけば、裸眼で快適な日常生活ができますし、訓練や特殊なコンタクトレンズの毎晩の装用をずっと続けなければいけないといったわずらわしさもないのですが、手術ですので、100%安全だとは言えませんし、この手術を受けた人全員が視力に関して満足しているとも言えないようです。
また、手術してから何年かして近視が進行した場合にどうなるのかという点も問題として残されているようです。

4)メガネよりも外見の点や、スポーツに適すると言うことで好む人が多いのですが、角膜表面でのガス透過がコンタクトレンズ(以下、CLと略す)の装用によって裸眼のときや眼鏡装用のときに比べて減少することや、微生物などの感染により角膜に障害をもたらすことがあります。
眼科へ朝一番で駆け込む急患で一番多いのは、CLで目のトラブルが起こった人だと言います。日本眼科医会の調査(平成14年)によるとCL使用者の10人に1人が眼に何らかの障害を生じさせています。そして、日本コンタクトレンズ協会の調べでは、最も障害率の高いのは1週間連続装用の使い捨てソフトで、15%もの人がそれによる眼のトラブルを経験しているとのことです。

CLの種類別眼障害の発症率

ハードCL           5.6%
従来型ソフトCL      11.1%
一日使い捨てソフトCL    3.3%
一週間連続装用ソフトCL  15.0%
2週間交換ソフトCL     9.6%

(産経新聞 2005.11.3 の生活欄の記事より)

CLは医療機器である、とよく言いますが、それは「医療機器だから安全だ」という意味ではなく、「医療機器だから十分な注意のもとに正しく取り扱わないと危険ですよ」ということです。

メガネと比べるとものの見え方が自然だ(大きさ、形、距離感などの変化が非常に少ない)という利点はあるのですが、眼精疲労の原因の一つである斜位を矯正できませんので、普通はCLのための検査においても、斜位の検査はせずにすますことがほとんどです。

しかし、メガネで斜位を矯正することにより物が楽に見える場合が多いので、その検査が
ほとんどなされないという点が、CLの処方のための検査の問題点だと言えるでしょう。

また、老視になる前の30代やそれより若い人の場合には、CLの検査に置いては近見の
検査も省略されることが多いので、実際の仕事の上では必要以上に強い矯正状態でパソコンなどのデスクワークをすることになってしまうこともあり、そのためもあって、ドライアイになりやすいようです。
ドライアイになるとCLはなるべく使わない方がよいです。

また、老視のある人のための遠近両用のCLもありますが、それでの見え方の鮮明度は、
まだメガネの遠近両用に及ばないようです。

5)CLと比べると、光学的にはメガネの方がものの見え方はやや不自然となります。
たとえば、近視を矯正した場合、ものの大きさは小さく見えますし、乱視も矯正すると形がやや違って見えることもあります。

しかし、それは角膜とレンズの感覚を短めに設定することでかなりましにできますし、なんと言っても、角膜に触れないですみますので、CLによる眼の障害の心配がなく、取り扱いも、CLほどに神経を使うこともありません。また斜位矯正も容易ですので、それによる眼精疲労の軽減効果が発揮されることもあります。

ドライアイの人には角膜に接触しないですむ矯正手段である「眼鏡」がいいです。
それと、老視になれば、遠近両用、中近両用、遠方専用、近方専用などのいくつかもメガ
ネを簡単に使い分けられるという点もメガネの特長です。

投稿日:2020年10月24日 更新日:

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